今となっては懐かしい予防接種調査の第一歩。
「日本脳炎」です。
どうも数ある乳幼児向け予防接種の中で一番接種率が低いらしく、アンチな意見が盛りだくさん。
そこで、公式非公式問わず調べてみることにしました。
日本脳炎の基本をおさらい
「日本脳炎」ってどんな病気なのか知らなかったので調べてみました。
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。
突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもあります。
一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した方の20~40%が亡くなってしまうといわれています。
また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残ってしまうといわれています。
参考:厚生労働省
「1000人に1人」が発症ということは99%の人は不顕性感染しているということになります(=感染はするけど症状はあらわれない)。
では、気になる患者数は?
・2000~2014年までの日本脳炎患者報告数は毎年10人以下。0~4歳:2例、5~9歳:3例、10~19歳:4例(2000~2010年の累計)。
・死亡者については、2006年の1例のみ(2000~2009年の中で)。
参考:日本脳炎予防接種に関する報告、日本脳炎 疾患情報 (ウイルス第一部)、日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A[H28.3月版]
患者数が少なすぎて調べる気力なくなってきますが、感染経路はどうなっているのでしょうか?
日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖し、蚊によってブタからブタにウイルスが伝播します(ブタ→蚊→ブタの流行)。
一方ヒトは、ブタから感染した蚊に刺されて感染します(ブタ→蚊→ヒト)。
ヒトからヒトへの直接感染はありません。
参考:厚生労働省検疫所 FORTH
ヒト→ヒトの感染がないのであれば、予防接種を打たないことで他人からとやかく言われる筋合いはないということです。
日本脳炎の予防接種とは
続いて、日本脳炎の予防接種について調べてみました。
どうして予防接種を打つ必要があるのでしょうか?
ワクチン接種により、日本脳炎の罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています。
参考:厚生労働省
素晴らしく効果の高いワクチンですが、効果持続期間は?
定期の予防接種を完了していても、予防接種の有効期間は3~4年といわれています。
この期間を経過した後に、流行地域(特に農村部)に長期間渡航される方は、追加で1回接種し、以後3~4年ごとに接種することが勧められます。
参考:厚生労働省検疫所 FORTH
流行地域は?
日本、韓国、中国、ベトナム、タイ、カンボジア、マレーシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、インドネシア、ネパール、バングラデシュ、インド、スリランカ、パプアニューギニア、台湾、ブルネイ、パキスタン、シンガポール、米領グアム、米領サイパン、オーストラリア(クイーンズランド州北部)、ロシア(極東部)
参考:厚生労働省検疫所 FORTH
日本、韓国、台湾はワクチン接種によりすでに流行が阻止されている。
予防接種を何度か打った後、日本国内に住み続けている場合、とっくに効果は切れているはずです。
それでも年間10例未満の発症数。
海外転勤の可能性があれば打っておく方がいいかもしれませんが・・・。
ただし、推奨接種時期を逃すと全額自費です。(推奨接種時期は無料)
識者の意見は?
■忘れられがちな日本脳炎 リスク高い北海道 増える外国人どう守る? | ヨミドクター(読売新聞)
予防接種を打ってるから日本脳炎に罹患していない、という意見が神戸大学の感染症の教授から発信されています。
そこで、日本脳炎の予防接種率について調べてみました。
厚生労働省のサイトに予防接種実施者数は発表されているのですが、日本脳炎の場合、特例措置で予防接種を受ける人がいるみたいなので、私の知りたい推奨接種時期の予防接種率はわかりませんでした。
ただ、どうやって調べたのかわからない日本脳炎予防接種率と中和抗体保有率は国立感染症研究所のサイトから発見できました。
中和抗体保有とはおそらく、日本脳炎に対抗できる抗体を持っているということかと思います。
ただ、〇〇年の資料~とかややこしすぎて、断念。
なんで、見やすく公表してくれないのか不思議で仕方ありません。
ただ、これだけはわかります。
最後の定期接種が9歳なので、14~15歳辺りで日本脳炎の予防接種は効果切れになってしまいます。
ということは、先ほどのリンク先Drの「予防接種を打ってるから日本脳炎に罹患していない」という意見には賛同できません。
日本脳炎の予防接種のリスクは?
日本脳炎の予防接種について調べると、確実に出てくる単語があります。
ADEMという脳症の副作用です。
ワクチンや薬で副作用が出ない、なんてことは絶対にありません。
数値だけを見るとそこまで副作用頻度が高いとは思えませんが、いろいろな事情があり日本脳炎ワクチンについてはADEMの調査が継続されているのでしょう。
(そもそも副作用頻度が高ければ、そのワクチンは発売中止になっているはず。そして日本脳炎ワクチンは一度発売中止になり、今は新しいワクチンが使用されています)
最後に
結局、コレという情報を探し出すことはできませんでしたが、厚労省絡みのサイトを軽く調べてだけでも、日本脳炎ワクチンの有用性について納得はできませんでした。
ただ、日本脳炎ワクチンは副作用が恐ければ打たない、という選択ができる予防接種のひとつです。
なぜならヒトからヒトへ感染しないから。
この調査が日本脳炎の予防接種についてお悩みの方々の参考になれば幸いです。
最後に、私は何の責任も持つことはできませんので、予防接種の可否についてはご自身で判断してくださいね。
(2024.1.17掲載分ココまで)
2024.1.29更新
エックスで発見。
え、日本脳炎のワクチン接種後翌日で3歳が亡くなってるって大事件なのでは…?!貴重な3歳児が…😭
— QWERTY (@nanashi33123) 2024年1月26日
日本で日本脳炎になって発症する人は年間で10人くらいしかいないのに… https://t.co/ezIEV87m7P
発症数から考えると激しく共感できますが、接種人口から考えるとそこまで異常ではないかなという印象です。
繰り返しますが、薬も予防接種も万能ではありません。
そこを忘れないようにしてください。